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いわゆる推しを大事に【モーリフォトエッセイ#14】

友人に誘われて、久しぶりにライブハウスに行くことになった。初めてノンアルコールビールを飲んだ。


 

ライブに行くためにアルバイトを頑張っていた頃

モーリフォトエッセイ#14

バンドが好きで、20代前半くらいまではライブのためにアルバイトをするような人生だった。食費を削ってでもライブに行くのが大事だったのに、今回のライブはいつぶりだろうか。音楽に飽きてしまったわけではない。このご時世で行きたかったライブも次々延期・中止になってしまって、いつのまにかすっかりライブハウスと疎遠になっていた。私は好きなアーティストや芸能人のことを「推し」という言い方はしないけど、いわゆる推しがいる生活は楽しい。ライブの日をカウントダウンするように仕事を頑張るようになるし、ライブの後はしばらく余韻で生きていける。楽しみにお金を惜しみなく使うことは、自分も相手も全員幸せになれる。

ノンアルコールビールは水のような味がした

モーリフォトエッセイ#14

いつもはライブハウスでビールを頼む。アルコールの提供ができない期間だったので、はじめてノンアルコールビールを注文する。糖質オフのビールがまずかった思い出がよぎったけど、ノンアルコールビールは普通に美味しいことを知った。感想は「水のようなビール」という感じ。リモートワークしながら冷えたノンアルコールビールをこっそり飲んだら働きながら背徳感が味わえるのではないか。久しぶりのライブハウスはソフトドリンクしかないし、椅子に座って静かに鑑賞して、声は出さない。映画館と同じくらい対策がされていた。普通のライブなら大体夕方から始まって、4〜5バンドが出演して22時頃に終わる。でも、その日はきっかり20時にライブが終わって、健全な気持ちで家に帰った。

好きなことにお金を使えばみんな幸せ

モーリフォトエッセイ#14

去年から少しずつ友達とごはんに行ったり、飲みに行ったりする機会が減った。たぶんそういう人がほとんどで、お金を使わなくなった人もたくさんいる。お金を使わなくなったことで貯金が捗っているかといえばそうでもない。使い道を失ったお金は貯金しておけばいざというときに安心だけど、結局洋服や雑貨を買って浪費している。引っ越しで家電家具をまとめて捨てたときは全部で3万円くらいだった。捨てるだけでこんなにもお金がかかるなら、誰かに投げ銭してあげた方が有意義な使い方なのに。ライブに通うのは自分のためだけど、チケット代やグッズ代に楽しくお金を使った分が実質投げ銭となってアーティストの寿命が長くなるならそれが結局自分の幸せになる。

無駄遣いは控えながら価値あるものにお金をたくさん使いたい

モーリフォトエッセイ#14

また普通にライブに行ったり、大人数で飲みに行ったり、友達と気軽にごはんに行ったりしたい。最近は大好きな一人映画も行かなくなってしまって、楽しみにお金を使う機会が減っている。無駄遣いはできるだけしないで、価値あるものにたくさんお金を使えるようになりたい。いまの間で自分の好きな人達がいつのまにか消えないように、「推し」にはたくさんお金を使って欲しい。好きなアーティストにつぎ込んでたことも、ファンを卒業してお金を使わなくなってからもそれが良い思い出になれば、推しとは人生ということだ。ここ最近でずっとそんなことをぼんやりと考えて、ひさしぶりにライブに行ってそれを再確認した。サブスクが当たり前の世の中で、物を持たない暮らしが流行っていて、金銭的にもスペース的にもそっちの方がありがたいのだけど。物欲に消費するだけじゃなくて、自分が頑張るために頑張って欲しい人にたくさんお金を使いたい。だからそのために仕事をして、結果みんな幸せになると良い。





Profile:モーリ
フォトグラファー / ライター
東京でバンドや人を撮影しながら、傍らで文章執筆をしています。
その他、ライブ写真やアーティスト写真、ポートレート、アパレルEC撮影などで活動中。

各種SNSのフォローお待ちしてます。作品撮りモデルも随時募集しています。
( litlink:https://lit.link/sadistic24  )

model:仲村弥生

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