長年住んだ家を遂に引っ越すことになった。まともに引越しをするのがほぼ初めてで、なにから始めたらいいかわからず、なんとか引越ししたあとは部屋が段ボールの箱で埋まったままで日々を過ごしている。
何をする時も思い立ったが吉日
自分の環境を変えるとなんか運気が上がるらしい。運気を上げるためではないのだけど、家の更新を機会にずっとぼんやりと引越しを考えていた。前にもエッセイで書いたけど、前の家で一人暮らしを始めるまえはずっと「いつか一人暮らししたい」と言いながら、友人には「ずっと言ってるけどたぶん引っ越ししないんじゃないか」などと言われていた。でもある日突然、いまなら一人暮らしできるような気が急に湧いてきて、そのまま不動産屋さんに駆け込んだ。今回の引越しは更新月ギリギリまでゆっくり考えようと思っていたけど、どうせ引っ越すならと思い立ってからそのまま不動産屋に退去届を出しに行き、1ヶ月後に引越しが決まったのだった。
引越しが決まっても当日まで何もできなかった
1ヶ月後に引越しが決まったら段階を踏んで準備を進めるのみだというのに、やることが多すぎてなにから手をつけていいかわからない。8年住んだ家を出るための手続きはあっさりだった。引っ越し先は転がり込んでお世話になろうと思っていた家があったので、あとは解約系の手続きや、粗大ゴミや住所変更などの色々を片付けていくだけだった。前回の引越しの時は初一人暮らしだったので、家具家電は全部新調。ガス電気水道も新規契約のハガキに日付を書いて投函するだけだから楽だった。だけど、今回の引越しは前回とは違って家電をほとんど処分することになり、粗大ゴミで出すのか業者を呼ぶべきか迷う。頭の中で「引っ越し準備しなきゃ」と思いながら、なんとなく仕事をしてたら当日になっていてタイムスリップしたのかと思った。
いろんな手続きはなんでこんなに難しいのか
転居届は引っ越したあとに役所に行けばいいと思っていたけど、事前に出す転出届というものがあるらしい。スーパーに行けばあたりまえに大きい段ボールがもらえると思っていた。引越しに必要な資材はまえもって集めておくべきだった。ゴミの日を逃して捨てられなかった缶ゴミやビンゴミは引越し日を考えてはやめに捨てておくべきだった。不用品回収をまえもって手配しておくべきだった。と、とにかく反省点ばかりの引越しだった。結局引っ越し前日までほとんどやるべきことが進められず、深夜までかかって荷造りが完成した。ベッドフレームも解体すべきかどうか当日まで悩んで結局深夜に解体した。私の性格は本当に思い立ったら行動する割に、そのあと結局行動できていなくて不思議になる。
きっと何年か後に私は同じことを思っている
引っ越しはドライバーをお願いして3往復で荷物を運んだ。本当は自分で運転すれば良かったけど、ペーパードライバーなので荷物を乗せた車を運転するなんてどうやっても無理だ。引越しが大変なんて当たり前のことだけど、世の中の人達はみんなこんなに大変な手続きや荷物運びをあたりまえにやっているのか。もう良い大人だけど知らないことが多い。まだまだ段ボールだらけの部屋で、断捨離したい欲も出てきて開けてない段ボール全部捨てちゃおうかなと思い始めた。今回の引越しは私にとって、確定申告をするよりもずっと大変に思えた。次の引っ越しは何年先になるかわからないけど、今回こうすれば良かったなあと思ったことも、きっと忘れてギリギリに荷造りをしながらまた同じことを思うのだろうな。
Profile:モーリ
フォトグラファー / ライター
東京でバンドや人を撮影しながら、傍らで文章執筆をしています。
その他、ライブ写真やアーティスト写真、ポートレート、アパレルEC撮影などで活動中。
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