美容皮膚科に行った時「よかったらうちは二重幅もやってるよ」と言われた。相談していないのになんとなく失礼だと思いながらも、一応値段だけ聞いた。二重にするつもりは最初からなかったので、安いのか高いのかわからなかったけど、とても高く感じた。
一重だけど笑うと二重、人には奥二重と言われる
よく「アイプチを手放せない」という人がいるけど、私はまともにアイプチを使ったことがない。これは自慢ではなくて、一重にはまぶたがすっきりと細い一重とまぶたが重くかぶさるような一重に分かれると思うけど、私はどちらかというと重たい一重だからあんまり綺麗な二重が作れなかった。
まぶたが分厚いタイプの一重って、アイプチのような二重テープをしても眠たそうな目になりがちだ。雑誌に載っている年が近くてかわいい読者モデルは二重か奥二重の人ばっかりで、なんで自分だけ一重なんだろうと思っていた。
大人になっていつのまにか二重風のまぶたになった
そんな私も、若い頃の努力の甲斐あって高校生くらいのときから「一重に見えない」「奥二重だね」「二重だと思ってた」と言われるようになった。自分ではとにかく目が嫌だったので、そう言われるようになったのは素直に嬉しかった。
幸い私は人から言われて一重を気にしたことはなかったけど、若い頃にありがちな自分で自分に呪いをかけていた。当時は鏡を見るたびに自分のまぶたを見てぜんぜんかわいくないな〜と心の中で唱える。ほとんど無意識に繰り返していた。やめた方が良いと気付いたのはもう少しあとだった。
そんなことを思いながら、毎日効果があるのかよくわからないような二重術なるものを片っ端から試す。正直どれも気休めというか意味ない気がしていたけど、いつしかそれが日課になって、気付いたらうっすらと二重の線ができていた。
自分は涼しい顔の人が好きだと思った
体重はどの時代も平均してあまり変わっていないけど、20代になって顔から上半身が全体的に痩せたように感じる。顔が痩せてきてまぶたも二重のラインが常に出るようになった。もともと一重が二重風になっただけなので、どちらかというと左目の方が二重になりやすい。
私が一重がそれほどコンプレックスに感じなくなったのは、写真を撮り始めたこともあると思う。最初にカメラを持ったときは漠然とかわいい女の子が撮りたいと思っていたけど、すこしずつ私は三白眼といわれる鋭い目や涼しい顔の女性が好きだなと気付いた。男性もいわゆる塩顔やぱっちりしていても目力の強い人に惹かれる。
以前、写真屋さんで働いてたときに記念写真を撮りに来た女の子が、親はノリノリだけど本人は写真を撮りたくなさそうな子がいたのを覚えている。鋭い一重でどちらかと言うときつく見える顔が、わたしはすごく魅力的だと思ったけど本人は写りたくなさそうだった。
コンプレックスという言葉すら嫌いだったけど
いまの時代はコンプレックスを解消しやすい世の中になっているなあと感じる。コンプレックスという言葉自体なんとなく嫌いであんまり聞きたくなかったけど、youtubeを見れば美容に関する情報をいくらでも見れるし、何にどのくらいがお金が必要で、どのくらいのダウンタイムがあって、整形やコンプレックスを前向きに発信する人もたくさんいる。
「二重にできるよ」と先生に言われたことが、なんとなく「二重にした方がいいよ」と言われたような気がして、そんなことをぼんやり考えていた。一応聞いた値段は、少し貯めればまあまあできなくもない値段だった。自分の粗探しを始めれば尽きなくなってしまうけど、わたしは私が好きな涼しい顔の部類だし、このままで良いかな。と思ったのでした。
Profile:モーリ
フォトグラファー / ライター
東京でバンドや人を撮影しながら、傍らで文章執筆をしています。
その他、ライブ写真やアーティスト写真、ポートレート、アパレルEC撮影などで活動中。
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