風邪から中耳炎をこじらせ、最終的に熱性けいれんを起こして救急搬送されてしまった娘。
今回は、娘がけいれんを起こす原因となった、リスクの高い薬について書いていきます。
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“熱性けいれん”について
乳幼児期に発症するけいれんの1つ、“熱性けいれん”。
生後6か月から5歳くらいまでの間に多く見られ、発熱に伴って起こるけいれんを指します。
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38℃以上の高熱時、熱が出始めてから24時間以内にけいれんが生じることが多く、主な症状は手足のけいれんや意識消失、顔色不良など。
通常5分以内で自然に治まり、“熱性けいれん”が原因での死亡や、後遺症はないと言われています。
対処法
・広くて平らな場所に寝かせ、保冷剤などで足の付け根を冷やす。
・衣類(特に首元)をゆるめ、楽な状態にしてあげる。
・嘔吐を伴う場合があるため、吐いたもので窒息することがないよう、首と身体を静かに横向きにする。
・時間の計測をする必要があり、けいれん時の様子をより詳しく医師に診てもらうことができるため、余裕があれば動画を撮影する。(私にはそんな余裕ありませんでしたが、、、)
してはいけないこと
・嘔吐を伴った場合は吐いたものが奥に入ってしまう可能性があるため、人工呼吸をしない。
・けいれんを起こしている間に舌を噛んでしまうことはないため、口の中に物や指を入れない。
・大きな声で呼びかけたり、身体を揺さぶるなどの刺激を与えない。
熱性けいれんの原因については完全には明らかになってはいないものの、両親やきょうだいに熱性けいれんの経験がある場合に発症する可能性が高まり(通常の2-3倍)、遺伝的な要因が関係しているとされています。
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“熱性けいれん”は大きく分けて2つの種類があります。
単純型
・発作時間が15分以内
・1回だけ(24時間以内にけいれんを繰り返さない)
・左右対称の全身性のけいれん
複合型
・発作時間が15分以上
・24時間以内に発作を2回以上繰り返す
・身体の左右いずれか片側だけがけいれんする
※3つのうち一つでも当てはまれば複合型の熱性けいれんとなります。
娘の場合、別れた元夫が幼少期に熱性けいれんを経験し、大人になってからも娘と全く同じ症状でけいれんを起こしていたことから、仮に遺伝性のものであれば確実に遺伝してしまっているであろうと予想していました。
原因は薬の副作用
とはいえ、娘の40度を超える発熱はこの日が初めてではなく、前月から少なくとも3回は経験しており、0歳の時にも同様の高熱を出したことがあるので、原因は他にあるのではないか、とピンときた私。
救急外来で診察を受けた際に、同日初めて受診した耳鼻科で、これまで服用させたことのない薬が処方されたこと、
その薬を飲ませてから急に熱が上がり、これまで40度以上の熱が出た時と比較して異常に身体が熱く、ぐったりしていたことを伝えました。
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薬名を伝えると、妙に納得した様子の医師。
驚くことに、その薬には“熱性けいれん”を引き起こす原因となり得る副作用があったのです。
薬の名前は、「ポララミン」。いわゆる『第一世代抗ヒスタミン剤』に分類され、鼻水や痒み、じんましんといったアレルギー症状を抑えるために処方されます。
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鼻炎やアトピー性皮膚炎などの治療目的で使用され得る『第一世代の抗ヒスタミン剤』ですが、重大な副作用として、熱性けいれん、チアノーゼ(血液中の酸素が不足し、唇や指先などの皮膚や粘膜が青紫色に変化した状態)、呼吸機能の低下などが報告されており、近年では小児科や小児耳鼻科では処方しない病院が増えているのだとか。
娘は中耳炎の治療で「ポララミン」を処方されましたが、上記全ての副作用が出てしまっていました。
乳幼児には危険な『抗ヒスタミン剤』
子どもは鼻や口と耳を繋ぐ「耳管」が太くて短く、耳から喉までの傾斜が緩やかなため、大人と比較して中耳炎になりやすいとされています。
私の娘も、これまで数回中耳炎になりました。
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しかし、『抗ヒスタミン剤』は、小児急性中耳炎診療ガイドライン2018年版にも以下の記載があるように、中耳炎に対する効果は全くないのに、副作用などの害が大きすぎる薬なのです。
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・抗ヒスタミン薬の急性中耳炎に対する有効性を示すエビデンスはない
・抗ヒスタミン薬は急性中耳炎には有効でないため、投与すべきではない
・急性中耳炎に抗ヒスタミン薬は無効であり且つ有害事象も明らかであることから、害は益よりはるかに大きい
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「ポララミン」や「ぺリアクチン」をはじめとする『第一世代抗ヒスタミン剤』は、熱性けいれんを誘発する可能性が危惧される薬の代表格です。
『抗ヒスタミン剤』には、第二世代や第三世代と呼ばれる後発品もあり、これらは副作用が少ないとされているため、第一世代のものと比較すると安全。
それでも、そもそも4歳頃までは使用したところであまり効果がなく、逆に症状を悪化させる可能性があるため、ちいさなお子さんに投与するには注意が必要なのだそうです。
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私は、医師から両親(私と元夫)の熱性けいれんの既往歴について一切確認されなかったので、なんの疑いもなく『抗ヒスタミン剤(それも最もリスクを伴う第一世代のもの)』を娘に与えてしまい、結果として熱性けいれんを引き起こす原因を作ってしまいました。
これまで薬でアレルギー反応を起こしたことはないか、両親がけいれんを起こしたことはないか、など、本来であれば医師の方から確認するのが当然のことであるはずなのですが。それも今までかかったことのない初診の場合は尚更。(当該の耳鼻科は診察の仕方も雑なクソヤブ医者なので今後一生かかることはありません。笑)
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親としては、長引く高熱に弱っていく子どもの様子に胸を痛め、少しでも良くなってほしいと願いを込めて色々な病院を駆け回り、様々な薬を投与させます。
しかし、中には効果よりも危険な副作用が大きい薬もあるということを、私は今回初めて学びました。
「ポララミン」を含む『抗ヒスタミン剤』も、悪い薬ではないのでしょうが、私にとっては大切な娘を苦しめた恐ろしい薬でしかないので、絶対にもう二度と投与したくありません。
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娘のように、お子さんが『抗ヒスタミン剤』で熱性けいれんを起こした経験がある場合、次回以降病院で薬を処方されることがあれば、医師と薬剤師にその旨をきちんと伝える必要があります。
場合によってはちいさな命に関わるとても大切なことなので、子育てを頑張る世のお母さん方にぜひ知ってもらいたく、この記事を書くに至りました。私の体験が、少しでもどなたかの参考になれば幸いです。
次回は、コロナ禍での入院生活を振り返ります。